VRChatを始めると「相手が青や灰色のロボットに見える」「自分のアバターが他人に表示されないらしい」という疑問にぶつかります。これはバグではなく、パフォーマンス保護の仕組みによるものです。この記事では、パフォーマンスランク(Performance Rank)の仕組み、公式が定めている上限の数字、見る側と見せる側それぞれの対処をまとめます。数値は VRChat Creators Docs「Avatar Performance Ranking System」(2026年9月10日確認)に基づきます。
パフォーマンスランクとは
アバターは、ポリゴン数・マテリアル数・テクスチャのVRAM使用量・ボーンやPhysBone、パーティクルの数などから自動で評価され、Excellent から Very Poor までの5段階のランクが付きます。
判定は「全項目がそのランクの上限内に収まって初めて、そのランクになる」方式です。ポリゴンが Good でもテクスチャが Poor なら、アバターは Poor です。自分のアバターのランクを上げたいときは、どの1項目が足を引っ張っているかを見つけるのが最初の仕事になります。
公式の上限(PC と Android は別)
PC では、ポリゴンは Excellent が 32,000、Good 以上が 70,000 で、Medium と Poor もポリゴン上限は同じ 70,000 です。差が出るのはテクスチャメモリ(Excellent 40MB、Good 75MB、Medium 110MB、Poor 150MB)、Skinned Mesh の数(1/2/8/16)、マテリアルスロット(4/8/16/32)、ボーン(75/150/256/400)、PhysBone コンポーネント(4/8/16/32)などです。Poor の上限を1つでも超えると Very Poor になります。
Android(Quest 単体)はまったく別の、はるかに厳しい基準です。ポリゴンは Excellent 7,500、Good 10,000、Medium 15,000、Poor 20,000。テクスチャメモリは 10MB/18MB/25MB/40MB。マテリアルスロットは 1/1/2/4、Skinned Mesh は 1/1/2/2 です。PC で Good のアバターが Quest では Very Poor というのは、この差から来ています。
数字の細部はここに挙げた以外にも、Contacts、パーティクル、Light、Animator、Cloth など多くの項目があります。全項目は公式ドキュメントで確認できます。
初期設定で何が隠れるのか
重いアバターは、見る側の「表示基準」を下回ると自動的にフォールバックアバター(青いロボット)やプレースホルダーに置き換えられます。この基準の初期値はプラットフォームで違います。
PC : 初期値 Very Poor → 初期設定では何もブロックされない
Android : 初期値 Medium → Poor と Very Poor のアバターが非表示になる
つまり PC 同士なら、相手が特別に設定を変えていない限り、Very Poor でも表示されます。一方 Quest 単体の相手には、Medium 以上でないと自分のアバターは見えません。「Quest の人にだけ見えない」という現象の正体はこれです。
もう一つ知っておきたいのは、基準を下回ったときの扱いが項目によって違うことです。公式ドキュメントで太字になっている項目(ポリゴンなど)を超えるとアバターごとフォールバックに置き換えられますが、それ以外の項目(Light やパーティクルなど)を超えた場合は、その部品だけが取り除かれてアバター自体は表示されます。
見る側の対処 Show Avatar と表示基準
相手をきちんと見たいときは、相手のネームプレートを選択して「Show Avatar」を押せば、その人だけ制限を無視して表示できます(個別許可)。逆に重くて困る相手は「Hide Avatar」で個別に隠せます。
全体の基準を変えたいときは、設定のパフォーマンス項目にある「Minimum Displayed Performance Rank」を調整します。ここで設定したランク未満のアバターが自動でフォールバック表示になります。PC なら普段は Poor まで表示、人の多いイベントでは Medium 以上のみ、のように使い分けると快適です。イベントで自分だけカクつくときは、周囲のアバターの重さの合計が原因のことが多く、この基準を一段上げるだけで大きく改善します。
見せる側の対処 自分のランクを確認して軽くする
アバター選択画面で自分のアバターにもランクが表示されます。Unity では VRChat SDK のコントロールパネルにビルド前の統計が出るので、どの項目が上限を超えているかはここで確認します。Quest(Android)と PC ではランクが別々に計算される点に注意してください。
効果が大きい順に、次を見直します。
1. テクスチャ解像度 4096 → 2048/1024 に(テクスチャメモリが激減)
2. マテリアル数 統合できるものは統合(Android では特に効く)
3. ポリゴン数 不要なアクセサリ・重複メッシュ・服で隠れる素体を削除
4. PhysBone コンポーネント数と影響ボーン数を絞る
5. パーティクル/Cloth 使いどころを絞る
とくにテクスチャメモリはランク判定への影響が大きく、解像度を一段下げるだけでランクが変わることもあります。Unity のテクスチャインポート設定で Max Size を下げるだけなので、最初に試す価値があります。
手作業で削るのが不安なら、非破壊で軽量化する Avatar Optimizer(AAO)が定番です。使い方は「Avatar Optimizer(AAO)入門 非破壊でアバターを軽くする」、どの順で手を付けるかは「アバター軽量化の実践 パフォーマンスランクを上げる順番」を参照してください。Quest 向けに変換する手順は「VRCQuestTools PCアバターをQuest(Android)対応にする手順」にまとめています。
引用記事Avatar Optimizer(AAO)入門 非破壊でアバターを軽くするアバター
引用記事アバター軽量化の実践 パフォーマンスランクを上げる順番アバター
引用記事VRCQuestTools PCアバターをQuest(Android)対応にする手順アバター
よくある質問
Q. 全員に自分のアバターを見せる方法はある?
A. ありません。表示するかどうかは常に見る側の設定次第です。だからこそ、見せたい場面が多い人ほど軽量化の価値があります。
Q. フォールバックアバターとは?
A. 表示がブロックされたときに代わりに出る軽量アバターです。フォールバック対応のアバターを設定しておくと、ロボットではなく自分で選んだ姿が表示されます。
Q. Very Poor でも PC の人には見えている?
A. 相手が初期設定のままなら見えています。ただし公式は、Android では Very Poor アバターの機能が将来削除される可能性があると注記しています。長く使うアバターは、少なくとも Poor 以内に収めておくのが無難です。
Q. Medium と Poor でポリゴン上限が同じなのはなぜ?
A. PC のポリゴン上限は Good 以上で共通の 70,000 です。Medium と Poor の差は、テクスチャメモリ・メッシュ数・マテリアル数・ボーン・PhysBone などの項目で決まります。
まとめ
「見えない・見せられない」はバグではなく保護機能です。見る側は Show Avatar と表示基準の調整、見せる側は軽量化。上限の数字を知っていれば、どこを削れば一段上がるかが具体的に見えてきます。
公式情報
VRChat Creators Docs「Avatar Performance Ranking System」(2026年9月10日確認):
https://creators.vrchat.com/avatars/avatar-performance-ranking-system/

